福岡高等裁判所 昭和29年(う)2309号・昭29年(う)2310号 判決
(一) 歯科医業とは反覆累行する意思をもつて歯科に関する医の行為をなすを云い有償であることを要件としない。又歯牙に疾患がないのに単に装飾の目的で金冠を嵌入するような行為もその施術方法の当を得ると否とにより歯牙の健全に影響を及ぼすべきは当然であるからして此等の行為もまた歯科医業の範囲に属し歯科技工師の業務の範囲には属しない。従つて原審が代償の有無や歯科技工師の業務の範囲に付、特に詳細な審理をしなかつたと仮定しても何等所論のような違法はない。
同第四点に付いて。
(二) あへん法は医療及学術研究の用に供するあへんの供給の適正を図るため、国があへんの輸出入、収納及び売渡を行いあわせて、けしの栽培、あへんの採取並にあへん及びけしがらの譲渡、譲受、所持について必要な取締を行うことを目的とし、なお右目的貫徹のため右栽培から譲渡に到る一連の行為を各その段階において個別に把握し夫々これを処罰の対象としている。かような点から考えると原判決が栽培、採取、譲渡、所持(本件については譲渡後の残あへんの所持)に付併合罪の規定を適用したのは正当であつて、被告人のみの主観に立脚し牽連犯の成立を主張する趣旨は採用できない。
(裁判長判事 柳田躬則 判事 青木亮忠 判事 鈴木進)